ひつじの窓

ゆるやかに

【読書】愛について語るときに我々の語ること

レイモンド・カーヴァー

村上春樹

 

引用

我々は愛についていったい何を知っているだろうか?

 

僕らはみんな愛の初心者みたいに見える。僕らはだれそれと愛し合っていると言う。そして愛し合っている。

 

前のワイフを命を賭けて愛していると思えた時期だってあったはずだ。でも今ではあいつに我慢ならない。実際の話。そういうのをどう説明すればいいんだろう?そのときの愛は一体どうなってしまったんだろう?僕には全然わからん。

 

解題

ここで語られているテーマは、タイトルにもあるようにまさに「愛」である。

4人の男女がそれぞれに愛についての思いを語る。

あるものは屈曲した愛であり、あるものは失われ、損なわれた愛であり、あるものは常識で測ることのできぬ愛であり、あるものは憎しみに転じてしまった愛である。

しかし彼らは誰もが真剣に愛と救済を求めている。

渇望し、希求している。

運命がどれほど熾烈なものであれ、彼らはなんとかそこに出口を見出そうと努めている。

そしてそのドアが愛という記号を通してしか開かないことを彼らは感じている。

それはあるいは見果てぬ夢であるかもしれない。

カーヴァーという人間の内部でずっと続けられてきたシニシズムと救済の葛藤が、この作品においてははっきりと救済の方向に傾いている。

 

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