ひつじの窓

物語とか思ったこととか

c-4

友人の作品です。

 

かわいいお洋服。甘くてふわふわのパンケーキ。キラキラ光るイヤリング。

――――いつからだろう?これらのものを好きになったのは。

外にお出かけするときは、ちゃんと日焼け止めのクリームを塗らないとね。メイクは崩れないようにバッチリ決めて。ハンカチ、ティッシュ、絆創膏も忘れずにね。

――――いつからだろう?『こうしなければ』と自分に暗示をかけるようになったのは。

私はかつて、人間の子供だった。制約はたくさんあったけれども、その頃は楽しんで生きていたと思う。大人になれば、もっと色んなことが出来るんだ!子供ではできないことをたくさん!この頃は、大人になることに対して夢を持っていた。大人になれば、自由に好きなことを出来る。そう信じていたのだ。だが、待ち望んでいたはずの人としての生き方は許容されず、自分は別のものへと変わり果てた。『女の子』、という生きものに。

成長していくにつれ、『女の子なんだから』という呪いをかけられるようになり、様々なことが禁じられた。あぐらなんてかかないの、女の子なんだから。夜遅くまで出歩いちゃいけないでしょ、女の子なんだから。自分のやること成すこと全てにこの固定概念はついて回ってきた。女の子という生き物は、常に可愛くなくてはいけない。また、男を立てるべき生き物でなくてはならない。世間から課せられたこの呪いによって、周りの女の子たちはどんどん画一化されたテンプレ通りの女の子へと変わっていった。どうしよう。私は焦りを感じた。このままでは、自分は異端者になってしまう。周りに合わせるために行動を起こすまでには悩む暇もなかった。動きやすくて好きだったショートヘアをやめ、着なれないスカートに手を伸ばす。靴ズレして痛かったハイヒールを履く。それで完成だ。『女の子』の出来上がり。

いつの間にか、自分の主体性は消え去ってしまっていた。

自分が何が好きなのか。やりたいことは何なのか。分からなくなってしまった。擬態期間があまりにも長すぎた。幼虫から蝶にはなれても、蝶から幼虫には戻れないのだ。偽りの羽根で着飾ってみても満足感なんてなくて、ただただ虚しさのみを感じていた。

…………結局、私は何になりたかったんだっけ?

今更悩んでも、もう遅かった。私は、『女の子』にも『自分』にもなれず、ずっと迷い続けていくのだと思う。