ひつじの窓

物語とか思ったこととか

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鏡の前に写る自分の顔を見つめるだけで、気分はどんどん沈んでいく。世の中には努力をすることでどうにかなることもあるが、自分の顔面偏差値を上げるには高額の整形費用が必要である。この容姿で生まれてきてしまったばかりに私は小学生の頃から辛い想いをしてきたのだ。今のこのネガティブな性格が形成された原体験を恨む。このまま家にこもっていては犬の散歩のリードで首を吊りかねないと思った私は鏡を燃えないゴミ箱に、書きかけのエントリーシートを燃えるゴミ箱に破り捨て、玄関を飛び出した。

 

全てを投げ出してこのまま灰になりたい…

 

そんな思いを抱えながら私は走り続けた。止まったら、また今までのネガティブな自分に戻ってしまいそうな気がしてひたすらに走り続けた。

 

…このままではダメだ。

 

気がつくと私は隣駅の駐輪場にいた。2kmほど走ってきたようだ。何もかも投げ出してここまで走ってきたので、今手元にあるのは命よりも大切なスマートフォンだけである。何か行動を起こさなければ、と思った私は今まで一度も起動したことのなかったとあるアプリを開いた。

 

これが私の人生を180度変えることになるとは、当時の私は知る由もなかった。