ひつじの窓

物語とか思ったこととか

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もうすぐ春。2月下旬から3月は気温差の激しい日が続き、花粉が私の行動範囲を狭めている。大学3年生の頃までは長い春休み期間真っ只中だったのに、今は研究と就活に明け暮れる日々である。就活というものは一体いつがスタートだったのだろうか。3月の解禁と同時に就活サイトからのメールは一気に増えフォルダを圧迫し、リクルートスーツを身にまとった学生を見かける頻度はたしかに高まったが、恐らくここが就活のスタート地点ではなかったはずだ。「シューカツ戦争」は半年、いや下手したら1年以上前から幕開けしていたのだ。もちろん私自身もこの3月1日の解禁日まで何もしていなかったわけではない。人並みにインターンの選考に参加したり、学内で開かれる就活対策講座には足を運んでいた。ただ、どこか他人事のような気がしていたのもまた事実である。現実から目を背けていたのかもしれない。これといって何かやりたい仕事があるわけでもなく、願わくば一生学生のままでいたいと思っていた私にとって、これが人生の岐路であるという意識よりも、ついに社会人にならなければならない年齢になってしまったという悲しみのほうが勝っていた。モラトリアム期間延長のためと進んだ大学院生活は研究に追われ、キラキラ大学生活とは程遠い日々であった。気づいたら、残りの学生生活はあと1年となっていた。